子育て宝箱
子育ての極意 - マスターからのアドバイス
アルプスの少女ハイジ
幼い頃親しんだ絵本の中に「アルプスの少女ハイジ」を記憶しておられる方もおありでしょう。
もしかしたら、テレビのアニメーションの「ハイジ」をご覧になっていらしたかもしれません。
ヨハンナ・シュピリ著「アルプスの少女ハイジ」、実はこの本は文庫で300ページ以上の、大人の鑑賞に十分耐え得る本であることをご存知でしょうか?
「アルプスの山奥で孤独に暮らすおじいさんのもとに孫のハイジがやって来る。純真で優しさのあふれた健康で快活な8~10才の少女が、まわりの人々全てに思いがけない幸せをもたらす。」
一見、単純そうに思える内容の中に、数々の教育の原点が含まれているのです。(著者は敬虔なクリスチャンでしたから、キリスト教精神に則ってはいるのですが。)
クララのおばあさまがハイジに絵本を与えるシーンでは、絵に感動するハイジを見て、文字がわかれば何が書いてあるのかわかって、もっと楽しくなると話して聞かせますが、決して文字を教えることを強制はしないのです。「読みたくなったら教えてあげます。」と、ハイジの判断に任せます。
「啐啄同時」
禅語の中に「?啄同時」という言葉があります。今まさに生まれようとする雛が卵の内側から殻をつつくのを「?」、外側から親鳥がつつくのを「啄」と云い、それが同時であってはじめて殻が破れ雛が生まれるという意味です。
まさに子育てにおいても、子どもが「やりたい」「知りたい」「考えたい」と好奇心を持った時、その時を親が知り手助けすることで能力を導き出すことができるのですね。
子が何に興味を持ち、心を動かしているのか、親は日々の生活の中で共有できることが大切です。
「ハイジ」の物語は大人になった親が読む、一服の清涼剤です。
アルプスの峰々の、お日様にキラキラ光る雪にうっとりし、高原の花々の色や香りを楽しみ、おじいさんの山仕事に目を見張り、はだしで山羊を追いかけ、ペーターと遊びまわる。まさしく、このハイジの五感を働かせて、伸び伸びと遊びまわる姿は、生きる力そのものです。今の子ども達に欠けているものの、最たるものかもしれません。
今、子育ては親達にとり、何か苦しい義務のようにとられがちです。「・・・せねばならない。」「・・・こうあらねば」etc.etc.
どうぞ、ゆったりと子どもと共に楽しみ遊び、その成長を見守る存在でいらしてください。
子育ては長距離です。あちらの景色、こちらの景色を眺めつつ、幸福な時を持ちましょう。
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